約50時間のタンザン鉄道旅のはじまり
タンザン鉄道とは、アフリカのタンザニア・ダルエスサラームとザンビアのカピリムポシを結ぶ鉄道のことです。(英語名:TAZARA)
2016年1月19日 私はタンザニアで知り合ったU10&mayu夫婦と一緒に3人で、この列車に乗りザンビアへ向かうことにしました。
遅延で有名なこの鉄道。
15時半に出発するはずの列車は、4時間も遅れ20時に出発となりました。
私たちが乗車するのはファーストクラス(1等)なので、駅構内にも専用の待合室はありますが、暑すぎるため駅に隣接するレストランで時間を潰しました。このレストランはエアコンも利いていて、ビールも2,800シリングで飲むことができました。
19時半頃に準備が整いようやく乗車・・・車両が古すぎて引くレベルです(笑)
後で聞いた話によると、タンザン鉄道はダルエス発の列車が毎週火・木・金の週3回出ており、木曜発の列車は新しい車両とのこと。(友人が実際に木曜発の列車で乗り実証済。2016年1月時点の情報です)
同じコンパートメントをシェアするU10&mayu夫婦。ふたりともまだまだ元気です。
1日目の夜は食堂車でビーフシチュー&ライス(4,500シリング=約250円)を食べてから就寝です。コンパートメントの天井についている扇風機は壊れていました。
鉄道での長旅は中国・ロシアでも経験済なので、それほど違和感はありませんでしたが、コンパートメントの扉のたてつけが悪すぎて、一度閉めると扉がなかなか開かなくなるのがやっかいでした。
食堂車で朝ごはん
2日目の朝。私たちのコンパートメントのすぐ隣は食堂車で、とても便利でした。
飲み物はデフォルトでミルクティーが出てきます。スープ&チャパティなど別メニューもあるようでした。ここでタンザン鉄道の食堂車と注意点についてお伝えしますね。
震度5並みの揺れに注意
乗車したタンザン鉄道は旧式の車両だったせいか、縦揺れ・横揺れが凄かったです。食堂車では、ウエイターが運んで来たスープがこぼれてしまうという場面もありました。
基本メニューはチキン・ビーフ・フィッシュ
ランチ・ディナーともにプレート料理で、メイン+総菜1品+小皿に入ったスープ+ライス+果物の組み合わせでした。肉だと4,500シリング(約250円)、魚だと6,000シリング(約320円)。
値段は良心的だと思います。ビーフの場合はカットされた肉が上のシチューの中に入って出てくるだけで、満足感に欠けましたが。オススメは魚で、日本の焼き魚定食並みに美味しかったです。
ライスの代わりにウガリを選ぶこともできるようです。ちなみにライスは量が多く、途中で飽きてしまうため、私たちは日本から持参したふりかけをかけて食べていました。つけ合わせの果物は3日間ともスイカでした。
ウエイターがフィンガーボウルを持って来てくれる
こちらでは手で食べる習慣があり、食事の前後にはウエイターが水と桶、液体洗剤を持ってテーブルまで来てくれます。手を拭くものはないため、ハンカチを持参しましょう。
ランチやディナータイムになると、乗務員がコンパートメントまで注文を取りに来てくれます。コンパートメントに料理を運んでもらうことも可能。私たちは気分転換に、毎回食堂車に通っていたため、ウエイターともすっかり顔なじみになりました。
列車内での過ごし方
日中は車窓からの景色を楽しんだり、読書、昼寝、音楽を聴くなど。私はひたすらマクラメを編んだりして過ごしていました。
乗っていた車両には電源がなかったため、極力パソコンは使わないようにしていたのですが、夜は就寝前に3人で映画上映会をしました。(朗報:新型車両には電源があるらしいです)
私のパソコンでアバター、U10さんのパソコンでは堺雅人主演の南極料理人を鑑賞!
停車中に出現する子どもたち・売り子
列車が一時停車すると、地元の子どもたちが近づいて来きます。
たいていは「ボールペン」や「ビスケット」を要求しているようでした。単に暇で遊びにきているだけなのかもしれませんが。
停車が長い駅では、よっぽどアジア人が珍しいのか、車両の外からじっとこちらを観察してくる子どももいました。
車内で作り溜めていたマクラメのブレスレットや折り鶴などをあげたら、仏頂面だった女の子たちが急に笑顔になりました。
停車中に売り子さんを観察したり、彼らからおやつを購入するのも楽しかったです。
ザンビア側の国境の町で、バケツを抱えたマンゴー売りからマンゴーを買おうとしたら、なんとバケツ一杯で5クワチャ(約50円)でした。乗客のひとりに通訳してもらい、マンゴー4個で1クワチャ(約10円)で購入。マンゴー好きの方は、ここでマンゴーを大人買いしてみるといいかもしれません。
列車内を探検
列車にも慣れてきた最終日(3日目)、隣の車両へ一眼レフカメラをぶら下げて遊びに行きました。
通路を歩いていると「撮って撮って!」と積極的にアピールしてくる男性陣。
その様子を見ていた女性陣も快く写真を撮らせてくれました。
車両連結部で出会ったふたりの男性。
帰りに写真好きのおじさんに捕まりました。彼はキヤノンの一眼レフEOS 5DMⅢを持っていて、ザンビアのルサカで購入したと言っていました。相当のお金持ちですね。
終点ザンビアのニュー・カピリ・ムポシ駅に到着
2016年1月21日23時頃、約50時間の長旅がようやく終わりました。
ルサカ行きのミニバスのドライバーが声をかけてきましたが、夜遅くの移動は危ないと思い、3人で朝まで駅構内で野宿することにしました。
タンザン鉄道乗車時の注意点
2日目の深夜に、タンザニアからザンビアへ国境を越えるのですが、ザンビア側に入ってしまうとタンザニアシリングは食堂車や売店でも使えなくなります。国境でイミグレの係員が車内に乗り込んでくるのですが、同時に両替商もやってくるので、ここで余ったシリングをザンビア・クワチャに両替しておきましょう。
ただし両替のレートは超絶悪く、正規レートの半分ほど(10,000タンザニアシリング=30クワチャ)でした。ドルのほうがまだマシで、1ドル=8クワチャだったため、タンザニアで余った25,000シリングと最小限の10ドル分だけ両替しました。これでザンビアの首都ルサカまでの交通費と車内での食費もギリギリ確保できます。
上記の理由から、両替で損をしたくない人はクワチャ貧乏になるはずなので、国境を越える前に、売店で水やおやつなどを買っておくといいかもしれません。
以上、タンザン鉄道乗車レポートでした。