2015年12月25日 ケニア・ナイロビ
クリスマスの朝。私たちはナイロビに来た目的のひとつである「スラムツアー」に参加することにしました。
ツアーはNew Kenya Lodgeのリセプションで申し込みました。ひとり1,600シリング(約1,760円)。ガイドが同行して、スラム内を案内してくれます。(*2015年12月時点)
東アフリカ最大のスラムへ
当日の朝、宿に迎えに来たのは、ラスタマンのような風貌の若者ジョゼフでした。「この人で大丈夫かな?」と一瞬不安に思いましたが、杞憂に過ぎませんでした。
ヒルトンホテル前からローカルバスに乗り、20分ほどでキベラスラムに到着です。
平屋が並ぶキベラスラムの入口。道端に放置されたゴミから悪臭が漂っています。
ここはナイロビの人口の約半分にあたる100万人が住むコミュニティ。旅行者だけで訪れるのは危険かもしれませんが、ガイドのジョゼフはこのスラム出身なので、顔見知りも多いようでした。彼と一緒に歩いていればまず問題はなさそうです。
ケニア政府も将来的にはこのスラムをなくしたいという考えがあるようですが、ゴミの撤去ですら追いついていないのが現状です。
小道に入り、商店や住居が密集するエリアを歩きます。ガイドのジョゼフは私たちを先導しながら、質問をすると丁寧に答えてくれました。キベラには多くのムスリムが住んでおり、争い事などは少なく比較的穏やかに暮らしているとのことでした。
フットボールはアフリカでも人気で、キベラスラムでもサッカーのパブリックビューイングが行われているようです。
道端で調理している家族がいたので、一眼レフを向けたが露骨に嫌がられてしまいました。観光客に見世物のように撮影されるのはやはりいい気がしないのでしょう。住民とのトラブルも考慮し、ここからはほとんどスマホで撮影することにしました。
キベラスラムの子どもたち
スラムで出会った子どもたちは素朴で、スマホを向けるとたいていは笑顔で応じてくれました。アフリカでは珍しく「マネー」と言ってくる子どもの少ないのが驚きでした。
スラムで暮らす子どもたちは、おしゃれで小綺麗です。女性もおしゃれには気を使っているようです↓
ドレスに身を包んだ少女を発見!
ジョゼフに聞くと、この日はクリスマスなので、キベラの子どもたちも顔にペイントをしたりおしゃれな服を着て楽しんでいるとのこと。
子どもたちは、私たちを見つけると「ハワユー!ハワユー!!」(How are you)と大合唱。歌で歓迎されているようで、とても嬉しかったです。
キベラスラムの水道事情
スラム内では水道が敷かれている場所は限られているため、水はとても貴重です。
私たちがスラムを訪問した日は晴れていて、洗濯物を干している家を多く見かけました。
この大量の洗濯物を洗う水はどこから持って来ているのだろう?
そう考えながらスラム内を流れる川の近くを通った時、川の濁った水で洗濯している人を目撃してしまいました。川の周囲にはゴミが堆積していいて、政府は川の整備をする予定だったものの、一向に進んでいないそうです。
スラム内は意外と坂道のアップダウンが激しく、ツアー中は結構歩くので、このあたりで私はすでに息切れを感じていました。(実は体調が悪かったのですが)
キベラスラムの生活風景
キベラスラム内には商店が点在していて、必ず鉄格子がついています。
なんと宿までありました。ジョゼフの話では観光客用のものではなく、短期滞在用のものだと言っていました。
キベラにある学校。お金がある家庭の子どもだけが通えるそうです。ジョゼフはそう淋しそうに言いました。
キベラスラムのストリートチルドレンを支援するKings of Kibera
ツアーの最後に、ガイドのジョゼフは私たちをスラム内の彼のオフィスに案内してくれました。
彼は何人かで、キベラスラムの孤児やお金がなくて学校に通えない子どもたちを支援する団体Kings of Kiberaを運営しています。このスラムツアーの参加費用の一部もその活動に充てられるのだそうです。
この時受け入れをしている子どもは10人に満たないぐらいの数で、予算はこんな感じで組まれているのだと教えてくれました。
オフィスの横の建物がキベラの学校。子どもたちが寝泊まりしているドミトリーも併設されている。
ツアー参加者リストに記入を求められたので名簿を見てみると、ツアー参加者は日本人がほとんどで、その他欧米人が何人かいるぐらい。日付もまちまちで、参加希望者がいればツアーが催行されるというシステムのようです。
オフィスに寄った後、ジョゼフはさらに実家に案内してくれました。そこは窓がない閉鎖的な空間でしたが、ジョゼフの母親がお茶でもてなしてくれました。世界の裏側で、質素に暮らしながら地元の子どもたちのために精力的に活動している若者がいる。なかば観光気分で訪れたスラムツアーでしたが、私はジョゼフの情熱と思いやりに感動していました。
私も何かしてあげたいと思い、持っていた古いリュックを寄贈することにしました。
世界一周出発時から使い続けていたMiletのリュック。チャックが全壊し、数ヶ月前にポルトガルで新しいリュックを新調したものの、思い入れが強く修理して使い続けていたものです。
「学校に通う子どもに使ってもらえれば。」
ジョゼフはすごく喜んでくれました。彼とは今でもFacebookで繋がっています。東アフリカに来たら、ぜひナイロビに立ち寄ってキベラスラムを見学して欲しい。子どもたちの笑顔、そしてそこで生活する人々。そこにあるのは、現実だけ。
帰りに、ジョゼフが素敵なものを見せてくれました。なんと日本人がキベラスラムに建てたトイレ&シャワー施設です。
約2時間のツアーが終了。スラム内には食堂もあって「何か食べていく?」とジョゼフが誘ってくれましたが、体調がすぐれなかったため断りました。実はナイロビに到着した日あたりから体がだるく、この時は立っているのもちょっと辛いぐらいだったのです。ジョゼフとはキベラのバス停でお礼を言って別れました。この時は、まさかのナイロビで病院に行くことになるとは思ってもみませんでした。
*以上、2015年12月時点での情報をもとに記事を作成しました。(1ケニアシリング=約1.1円で計算)